









1908年 オーストリア 雲上の女神 100コロナ金貨 フランツ・ヨーゼフ1世 在位60周年記念 【 NGC PF55 】
税込み価格
ハプスブルク家、最期の輝きを封じた「雲上の女神」金貨
700年にわたってヨーロッパの歴史に大きな影響を与えた名門・ハプスブルク家。
その最終章を飾るように発行されたのが、この「雲上の女神」100コロナ金貨です。1908年、オーストリア帝国の皇帝フランツ・ヨーゼフ1世の在位60周年を記念して誕生しました。
本コインは、単なる記念貨にとどまらず、芸術的完成度の高さからも高く評価されています。表面に刻まれているのは、70歳を超えた皇帝の威厳に満ちた肖像。時代の重みと品格を宿した横顔は、まさに帝国そのものの象徴です。
裏面に描かれたのは、柔らかな雲の上に立つ女神像。理想美と気品を備えたその姿は、国家の理念を象徴する寓意的なモチーフであり、善政と調和の象徴でもあります。また、この女神像が皇妃エリザベート(愛称シシィ)をモデルにしたという説も、ロマンティックな魅力を添えています。
さらに、コインの縁には「VIRIBVS VNITIS(力を合わせて)」のラテン語モットーが刻まれており、多民族国家オーストリア帝国の統合の精神を物語っています。政治的象徴、美術的価値、そして歴史的意義が、見事に調和した一枚といえるでしょう。
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統治者 | 皇帝フランツ・ヨーゼフ1世 |
---|---|
デザイナー | Rudolf Marschall Rudolf Neuberger |
カタログ番号 | KM# 2812、Fr# 514、Schon# 15 |
表面のデザイン | フランツ・ヨーゼフ1世 |
表面の刻印 | FRANC・IOS・Ⅰ・D・G・IMP・AVSTR・REX BOH・GAL・ILL・ETC・ET AP・REX HUNG・ |
裏面のデザイン | 雲上の女神 |
裏面の刻印 | 1848 1908 100 COR・ DVODECIM LVSTRIS GLORIOSE PERACTIS |
エッジのタイプ | インスクライブド |
エッジの刻印 | VIRIBVS VNITIS |

1908年オーストリア帝国発行 雲上の女神 100コロナ金貨の概要
多様性が注目される現代において、オーストリア帝国はその先駆けとも言える存在でした。中欧を中心に、ヨーロッパのさまざまな民族を統治したことでよく知られています。
1908年に発行された100コロナ金貨には、この多民族国家としての性質が刻印にも表れています。
「オーストリア皇帝、ボヘミア王、ガリツィアの王(ポーランドからウクライナの一部)、イリュリアの王(バルカン半島)、ハンガリーの王」
この長い称号の列挙こそ、ハプスブルク帝国の支配領域と政治的多様性を象徴しています。
700年にわたって続いたハプスブルク家の権威が、このコインに集約されているのです。
そして、本コインの裏面に描かれた女神像にも、国家の構造と統治哲学が静かに表現されています。
柔らかな雲の上に立つその姿は、単なる美術的な意匠ではなく、広大な帝国を統べるにあたって掲げられた理念――すなわち秩序、包摂、そして安定――を視覚的に具現化した存在といえるでしょう。
政治と芸術が結びつき、視覚表現としての女神像に昇華された点に、この金貨の深い意味と奥行きが宿っています。
また、デザインや仕上げの完成度においてもこの金貨は群を抜いており、発行枚数はわずか16,026枚という希少性を誇ります。名匠ルドルフ・マルシャルとルドルフ・ノイベルガーによる合作である点も特筆に値し、美術史的観点から見ても高い意義を持っています。

歴史的背景
在位68年という歴史的な長期政権を築いたフランツ・ヨーゼフ1世は、「不死鳥」とも称されました。
度重なる政変や戦乱の波に見舞われながらも、そのたびに帝国を立て直し、揺るがぬ存在として君臨し続けたその姿が、まさに不死鳥のようだったからです。
その不屈の統治は後世にも強い印象を残し、ヨーロッパにおける王政の象徴であり、激動の時代を生き抜いたカリスマ的統治者として、今なお伝説的な存在として語り継がれています。
王族同士の婚姻関係を通じて、戦わずして欧州全土に影響を及ぼしてきたハプスブルク家ですが、フランツ・ヨーゼフ1世を最後にその輝きは次第に陰りを見せていきます。
彼自身も、世継ぎである息子ルドルフの自殺(マイヤーリンク事件)や、愛妃エリザベートの暗殺といった深い悲劇に見舞われ、晩年は寂しさを抱えていたと伝えられています。
それでもなお、彼の統治下において帝国は長く安定し続けました。
そして、彼の甥で後継者となったフェルディナント大公の暗殺事件は、やがて第一次世界大戦へとつながる大きな転換点となります。
まさにこの金貨が発行された1908年は、その“戦争の前夜”とも呼べる、緊張と静寂が交錯する歴史の分水嶺だったのです。
この「雲上の女神」100コロナ金貨は、そうした壮大な歴史のうねりの中にあって、帝国最後の光を封じ込めた一枚。
王朝の終焉を目前にしながらも、なお高貴で、美しく、そして強く輝いていた“古き良きヨーロッパ”の姿を今に伝える、まさに歴史の証言者です。
市 場 価 値 - 今後の動向は?
フランツ・ヨーゼフ1世在位60周年を記念して発行された「雲上の女神」100コロナ金貨は、歴史的・造形的な完成度の高さから、アンティークコイン市場において常に高い評価を受け続けています。
その魅力のひとつが、裏面に描かれた美しい女神像です。宗教的モチーフとは異なり、国家理念を視覚的に表現したこの図像は、19世紀末から20世紀初頭にかけての“帝国美学”を凝縮したものとして、欧州の王室金貨の中でも特に完成度の高い作品とされており、芸術性とメッセージ性を兼ね備えたデザインとしてコレクターからの支持を集めています。
加えて、発行枚数はわずか16,026枚。しかもこれは発行当時の数字であり、流通・再鋳造・失われた個体を差し引けば、現存する良好な状態のコインは極めて限られています。
なかでもNGCやPCGSによってグレーディングされた個体は、そのまま海外オークションや高額リセールの対象になることも多く、資産価値としての信頼性も極めて高いと言えるでしょう。
またこのジャンルは、オーストリア金貨の中でも「歴史の節目」を切り取った一枚として特に人気があり、投資目線のコレクターや欧州王室金貨を集中的に収集する層からも根強い支持があります。
状態の良い個体は年々取り合いとなる傾向が強まり、鑑定済み・高グレード品となれば、数百万円で安定して取引されるのが現在の市場水準です。
「美術品として眺めていたい」「歴史を手元に置きたい」「将来の資産として保有したい」──
そうした多面的な魅力を持つこの金貨は、コレクションとしても、将来的なリセールという視点においても、非常に優れたポテンシャルを備えた一枚です。
華やかさと寂寥感が交錯する帝国最後の記念貨──
その手に収めた瞬間、きっとこの時代が生きていたことを、実感として感じていただけるはずです。