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1932年 イタリア エマヌエーレ3世 100リラ金貨 【 NGC MS65 】

セール価格¥468,000

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イタリア王国時代の美的洗練をつたえる100リラ金貨


船の舳先に立つ女神像が印象的な、1932年発行の100リラ金貨。
イタリア王国によって発行されたこの金貨は、表面に国王ヴィットーリオ・エマヌエーレ3世の堂々たる肖像を、裏面には国家の象徴としての女神「イタリア」が立つ姿を描いています。

この100リラ金貨は、イタリア王国建国70周年を記念して製造されたもの。コイン収集家として知られるヴィットーリオ・エマヌエーレ3世が自ら監修に関わったとされ、その審美眼が細部にまで宿っています。とくに、王の厳かな横顔と、優美な女神像のコントラストが絶妙で、格式と芸術性を兼ね備えた名品と言えるでしょう。

さらに、イタリア王国そのものが1861年から1946年までの短い期間しか存在しなかったという歴史的背景からも、この時代の金貨は流通量・現存数ともに限られ、コレクター市場での評価が極めて高くなっています。本コインは、そうした“王政期イタリア”の記念金貨のなかでも、芸術性と希少性の両面で特に注目される1枚です。

1932年 イタリア エマヌエーレ3世 100リラ金貨 【 NGC MS65 】
1932年 イタリア エマヌエーレ3世 100リラ金貨 【 NGC MS65 】 セール価格¥468,000

統治者ヴィットーリオ・エマヌエーレ3世
デザイナー ジュゼッペ・ロマニョーリ
カタログ番号KM# 72、Fr# 33
表面のデザイン ヴィットーリオ・エマヌエーレ3世
表面の刻印 VITTORIO EMANUELE Ⅲ RE
裏面のデザイン 船の舳先に立つ女神イタリア
裏面の刻印 ITALIA
L・100
1932
エッジのタイプリーディッド
エッジの刻印


1932年イタリア王国発行 ヴィットーリオ・エマヌエーレ3世100リラ金貨の概要

1932年に発行されたこの100リラ金貨は、表裏で異なる芸術様式を融合させた魅力的な構成を持っています。正面に描かれるのは、60代に差しかかったヴィットーリオ・エマヌエーレ3世の横顔。ファシズム体制下の重責を背負った国王らしく、その表情は謹厳で緊張感を湛えています。

肖像の下には、「サヴォイアの結び目」と呼ばれる紐状の意匠が刻まれています。これはイタリア王国を統治していたサヴォイア家の象徴であり、王のマントや王室関連の美術工芸品などにも繰り返し登場する伝統的モチーフです。

一方、裏面に描かれた女神イタリアの姿は、国家の理想を具現化した古典風の女神像として、高い芸術性を備えています。片手に平和の象徴であるオリーブ、もう片方には啓蒙と進歩を示すたいまつを掲げ、堂々と船首に立つ姿は、当時の国家理念そのもの。
また、船の舳先にはファシズム政権の象徴であるファッショ(束ねられた木の枝と斧)が描かれており、このコインがイタリアの複雑な近代史を物語っていることがわかります。

ジュゼッペ・ロマニョーリによるこのデザインは、国家的プロパガンダの要素を含みながらも、優れた造形美によって、芸術品としての評価も非常に高いものとなっています。


歴史的背景

イタリア半島は、古代ローマ帝国の崩壊以降、複数の都市国家と宗教勢力が入り乱れる複雑な勢力図の中で長く分裂状態が続いてきました。スペイン、フランス、オーストリア帝国といった列強の支配を経て、ようやく統一国家「イタリア王国」が誕生したのは1861年。
ヨーロッパ近代国家のなかでも比較的遅い成立でした。

王位を継いだのは、北イタリアの貴族出身であるサヴォイア家。
ヴィットーリオ・エマヌエーレ3世はその3代目の国王として、第一次世界大戦、ファシズムの台頭、第二次世界大戦という過酷な時代を生き抜くこととなります。

在位中、彼は表向きの権威を保ちつつも、暴力的な衝突や内戦を避けるため、実質的な政権運営をムッソリーニに委ねざるを得ませんでした。やがて両者の関係は悪化し、1943年にはついに国王自らムッソリーニを解任。しかし、ファシズムを容認してきた過去への批判は根強く、時すでに遅く、王政への信頼は大きく揺らいでいました。

第二次世界大戦での敗北を経て、1946年には国民投票により王政が廃止され、イタリア共和国が成立。王家は追放されるかたちで国を去り、ヴィットーリオ・エマヌエーレ3世はエジプトへと亡命しました。
晩年は、自らの責任と失意を抱えながら、その地で静かに最期を迎えたと伝えられています。

在位中、彼の心を支えたもののひとつが、膨大なコインコレクションでした。芸術と歴史への深い造詣を反映させた1932年の100リラ金貨は、まさに“王の美意識の結晶”とも言える一枚です。


市 場 価 値  - 今後の動向は?




ヴィットーリオ・エマヌエーレ3世は、世界最大級のコレクションを築き、貨幣学の研究書まで著した本物の蒐集家でした。そんな“王でありながら、究極のコイン愛好家”であった彼が、自身の統治時代に監修したのがこの100リラ金貨。
自らの美意識と国家観を託して作られたこの一枚は、象徴性と芸術性の両面で高く評価されています。

発行枚数がわずか9,081枚と少ないうえ、NGCにおける総鑑定枚数も56枚にとどまります。その中で「MS65」の評価を得たものは15枚のみ。さらに上位グレードのMS65+およびMS66はいずれも各1枚しか確認されておらず、本品のような高グレードの個体が市場に登場する機会はきわめて限られています。
こうした背景から、保存状態に優れた本品はコレクターの間でも注目されており、海外オークションにおいては高額で取引されていることも確認されています。

王の肖像と国家を象徴する女神像を表裏に配した構成は、美術性と思想性を兼ね備えた意匠として評価されており、近代金貨の中でも印象に残るデザインのひとつとなっています。こうした完成度の高さから、コレクターからも確かな支持を集めています。

また、イタリア近代史における“王政最後の栄光”を象徴する作品であるため、将来的な資産性の観点から見ても安心感のある選択肢であることは間違いありません。

現存数の減少に加え、世界的な近代金貨人気の高まりも追い風となっており、コレクションとしてはもちろん、リセールバリュー面でも自信を持っておすすめできる一枚です。

コインを愛したひとりの王が、世に送り出した金貨。
美と思想を凝縮したこの一枚は、収集の醍醐味を知るすべてのコレクターにこそ手にしてほしい逸品です。