1862年
イギリス領インド1862年-C イギリス領インド ヴィクトリア女王 ゴシックヘッド カルカッタ造幣所 1モハール金貨
PCGS | MS62
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コインの特徴
1862年銘のモハール金貨には、3つの魅力があります。
ひとつめは、統治の転換期を物語る記念碑的な1枚であることです。1857年のインド大反乱を経て、約100年におよぶ東インド会社の統治は終わり、1858年からインドは英国の直接統治下に入りました。しかし新しい貨幣発行の準備に時間がかかり、王室統治下で最初の貨幣が登場したのは1862年。今回のコインがそれにあたります。それまでの「EAST INDIA COMPANY」の文字が「INDIA」に変わりました。
2つめは、巨匠ウィリアム・ワイオンの作品であること。ワイオンは、英国王立造幣局の首席彫刻師を務め、ヴィクトリア女王の肖像を数多く手掛けた名匠です。1862年当時、ワイオンはすでに亡くなっていましたが、本品の肖像は、1847年に発行されたワイオンによるゴシック・クラウンの流れをくんでいます。
3つめは、中世を思わせる荘厳さをたたえた「ゴシックヘッド」の女王像であること。繊細な彫りと力強い線刻が、凛とした横顔を際立たせます。アラベスク調の裏面とあわせ、東西の美意識が溶け合った1枚です。
歴史的な魅力に加え、資産としての価値はどうでしょうか。鑑定枚数や需要と供給から見てみましょう。
コインの市場価格を左右するのは、需要と供給のバランス。インドでは100年以上前のコインの国外持ち出しが原則として禁止されており、海外市場への新たな供給は限られています。今後も収集需要が維持されれば、海外に現存する個体の市場価値を支える要因になると考えられます。
もうひとつ注目したいのが、保存状態と価格の関係です。PCGSとNGCの鑑定分布を見ると、本品と同じMS62は、上位のMS63・MS64に比べて鑑定枚数が多く、価格面でも比較的手が届きやすいグレード。未使用の品質を備えながら、上位グレードほど高額にならない点が魅力です。
どれほど希少なコインでも、価格が高くなれば購入できる人は限られます。その点、本品は約100万円という価格帯。将来の売却も視野に入れたとき、品質と価格、そして流動性のバランスに魅力を感じられる一枚といえるでしょう。
「英国領インド」で発行されたウィリアム・ワイオンによる傑作
鑑定枚数から見る、市場価値
ポピュレーション
発行枚数
153,000枚
鑑定枚数
12枚
ポピュレーションハイヤー
12枚
上記数値は、カルカッタ造幣所発行分に限定したものです。
掲載のポピュレーション情報は、当店が確認した時点での公開データを基準としております。鑑定状況や発行元による情報更新等に伴い、数値が変更される場合がございます。
ゴシックヘッドについて
古代彫刻のように柔らかな線の「ヤングヘッド」と呼ばれるヴィクトリア女王像に対し、ゴシックヘッドの女王の肖像は、中世美術を思わせる力強いラインで刻まれています。ウィリアム・ワイオンが1846年に手がけ、1847年のゴシック・クラウン銀貨で知られるようになったこのコイン、英国貨幣史でも屈指の美しさを誇ります。
ゴシック・クラウン銀貨では、女王のドレスには英国を象徴する花々が刻まれていました。今回の1862年銘英国領インド発行版では、胸元が一新され、真珠と刺繍入りのドレスで「東洋」を強調したともいわれます。この衣装を含め、ウィリアムの息子レナード・チャールズ・ワイオンが手掛けたという説もあります。
細密画のような繊細さと、浮き彫りならではの重厚感。他の女王像にはない魅力として、コレクターから高く評価されています。
東インド会社の終焉と大英帝国直接統治の幕開け
1862年銘の今回の1モハール金貨の価値を知るうえで欠かせないのが、当時のインドを揺るがした歴史的事件です。
1600年に設立された東インド会社は、もとはアジアとの貿易を行う民間の会社でした。転機となったのは、1757年のプラッシーの戦いです。これに勝利して以降、軍事力や徴税権をもち、実質的にインドを支配するようになりました。
しかし1857年、東インド会社による支配体制を揺るがす「インド大反乱(セポイの反乱)」が勃発。農民や旧地主層も巻き込み、約100年におよぶ東インド会社の統治は限界を迎えます。
事態を重く見た英国は、統治の抜本的な見直しに踏み切りました。
1858年、インドの統治権は東インド会社から英国王室へ移されます。同年11月にはヴィクトリア女王の名で宣言が出され、インドの人びとの宗教や慣習を尊重する方針も示されました。女王の代理人であるインド総督を頂点とする、直接統治体制の始まりです。
1876年には、英国議会の決議でヴィクトリア女王が「インド皇帝」を名乗るようになりました。広大な市場や豊かな物産、大きな兵力を英国にもたらしたインドは、大英帝国の「王冠の宝石」と呼ばれるようになります。
英国王室によるインド統治について
英国王室によるインドの直接統治は、1858年から1947年のインド独立まで、約90年にわたります。
統治の中心はロンドンにあり、インド担当国務大臣が、インド評議会の助言を受けながら、本国から政策をとりまとめるというシステムでした。現地インドでは、英国王の代理としての総督が、副王の称号で行政のトップを務めるという構造です。
実際には、次のように機能していました。
インドの各藩王国では、藩王による内政の自治が認められる一方で、外交や防衛は、英国の統制の下に置かれる、というシステムです。
英国による直接統治と、藩王国を通じた間接統治を組み合わせるという、双方の立場を考慮した統治体制だったといえるでしょう。
広大なインドの統治において、コイン発行は王室の権威を示す大切な手段でした。女王の肖像を刻んだモハール金貨は、王室統治の正統性を伝える重要な存在であったのです。
配送・保証
配送と補償について
梱包について
スラブに封入されたコインを、OPP袋に入れたうえで丁寧に緩衝材で包み、化粧箱に収めてお届けします。外装の段ボール内でも内容物が動かないよう配慮し、配送中の衝撃や振動を想定した梱包を行っています。
また、出荷前には低刺激アルコールを用いて、女性スタッフが一つ一つ状態の確認と清掃を行っています。
商品保証・サポート体制
- 商品到着後14日以内の返品・交換保証
- NGC・PCGS鑑定済み商品の真贋保証(永久保証)
- 配送中の破損・紛失に対する全額補償
- 専門スタッフによる購入後アフターサポート
- コインの保管方法に関する無料相談サービス
お問い合わせ・ご相談
高額商品のため、ご購入前のご相談も承っております。
ご不明点やご不安な点について、購入を前提としないご相談にも丁寧にお答えします。
コインの選び方や現在の相場感、将来的な保有・売却を含め、納得いただいたうえでご判断いただけるようサポートいたします。
英国によるインド直接統治への転換期に生まれた、歴史的にも興味深い一枚です。ヴィクトリア女王の気品あふれるゴシックヘッド肖像と、東洋的な装飾が美しい裏面も見どころ。繊細な彫刻には、当時の貨幣製造技術の高さが感じられます。
また、150年以上の時を経た今も、女王の肖像や装飾をじっくり鑑賞できるのは、アンティークコインならではの楽しみです。英国とインド、二つの文化が交わる時代を感じながら、長く大切にしていただきたい金貨ですね。
スタッフY|50代前半・男性(コイン歴10年)