本当の分散投資とは?「分散しているつもり」の落とし穴と資産を守り渡すための考え方
- 資産をいくつ持っていても本当の分散になるとは限らない理由を、「数」ではなく「値動きの違い」という視点から解説します。
- 値下がりだけでなく、換金性・管理の手間・家族への引き継ぎやすさまで含めて、資産を分散する際に見るべきポイントを整理します。
- 伝統資産を補う実物資産としてアンティークコインの特徴と注意点を整理し、分散投資に注目したい3銘柄も紹介します。
分散投資で本当に大切なのは、持っている資産の「数」ではなく「性質の違い」です。銘柄や物件をいくつ持っていても、同じ理由で値下がりする資産ばかりなら、リスク分散の効果はほとんど得られません。
本記事では、真贋保証付きのNGC・PCGS鑑定済みコインを中心に取り扱うPRIME MINTが、「分散しているつもり」の落とし穴と、値下がり以外に備えるべきリスクを解説します。これから資産形成を始める方にも、老後の資産管理を考えている方にも共通する考え方です。
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、社会保険労務士、行政書士、宅地建物取引士
❖分散投資とは「異なる値動きをする資産」へ投資すること
分散投資とは、お金を値動きの異なる複数の資産に分けて、資産全体の振れ幅を抑える方法です。ある資産が値下がりしても、別の資産が値上がりしたり横ばいだったりすれば、全体の落ち込みは小さくなります。
一般的には「資産の分散」「地域・通貨の分散」「時間の分散」の3つが基本です。株式と債券を組み合わせる、国内と海外に分ける、毎月一定額を積み立てる(ドル・コスト平均法)といった方法が代表例です。
公的年金を運用するGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)も、毎年値上がりの大きい資産を当て続けるのは困難だと説明しています。予測が難しいからこそ、あらかじめ分けて備えるという発想です。
分散が大切な理由は、「株が下がったら損をするから」だけではありません。値下がりが本当の損失になるのは、下がっている時期に売らざるを得なくなったときです。
住宅の購入や教育費、介護などまとまったお金が必要になる場面は、年代を問わず訪れます。そのとき資産が一つに偏っていると、安値で手放さざるを得ないかもしれません。
出典:GPIF「分散投資の意義①1位になる資産は当てられない」
❖「分散投資しているつもり」が一番危ない
見落とされやすいのが、「数を持つ」と「分散する」は別の概念だという点です。現状は困っていない方でも、一度確認する価値があります。
「たくさん持っている」と「分散投資できている」は別の話
保有する銘柄や物件の数を増やしても、同じような値動きをするのであれば、効果的な分散にはなりません。分散投資の目的は数を増やすことではなく、値下がりの原因(リスク要因)を分ける点にあるためです。
判定基準はシンプルで、「同じニュースで同じ方向に動くかどうか」です。たとえば「日銀が金利を動かした」「ある地域で人口減少が進んでいる」というニュースが出たとします。そのとき保有資産がそろって同じ方向へ動くなら、数が多くても中身は一つの資産に近い状態です。
実は分散になっていない3つの資産の持ち方
自分では複数の資産に分散しているつもりでも、 実は資産の分散ができていなかった、というケースは少なくありません。「分散しているつもり」になりやすい持ち方の代表的な例を、3つ紹介します。
①同じ地域に賃貸物件を10戸所有している
保有している不動産投資の物件が10戸あっても、同じ地域に集中していれば、人口動態・地域経済・賃貸需要などで受ける影響はほとんど同じです。
地域の賃貸需要が細れば、10戸すべての空室リスクが同時に高まりかねません。空室が続けば家賃収入が減り、ローンの返済や修繕費を手元の資金から補う必要が出てきます。さらに、同じ地域の物件は売却価格も同時に下がりやすいため、まとめて手放そうとしても買い手が見つかりにくくなります。
②同じ業界の株を10銘柄保有している
好きな業界や詳しい業界の株を中心に持つのは、株式投資でよくあるケースです。しかし同じ業界の企業は、業績を左右する要因の多くが共通しています。航空業界を例にとると、航空会社だけでなく航空機メーカーや関連企業の株を合わせて10銘柄持っていても、燃料価格や為替、旅行需要といった業界共通の要因で全銘柄が同じ方向に動きやすいのです。
たとえば燃料価格の高騰や旅行需要の落ち込みが起きれば、10銘柄すべての株価が同じタイミングで下がる可能性があります。銘柄数を増やしたぶん守られているつもりでも、実際には1つの業界に集中しているのと近いリスクを抱えている状態です。
③自社株+持ち家+その会社からの給与
持株会に参加している方が該当しやすいケースです。収入と資産の両方が一社の業績に依存しており、会社の経営が傾くと、給与・株価・地域の不動産需要が同時に影響を受けかねません。
たとえば業績の悪化で賞与カットや人員削減が行われると、収入が減るのと同時に、持株会で積み立てた自社株の株価も下がります。生活費を補おうと株を売れば、値下がりした価格で手放すことになるでしょう。さらに工場や事業所の撤退で地域の雇用が減れば持ち家の売却価格まで下がり、収入・金融資産・住まいの価値を一度に失う事態も考えられます。
❖分散投資でリスクが減るのは値動きの理由が違うから
分散投資でリスクが減るのは、資産ごとに「値動きの理由」が異なるからです。理由が違えば値下がりのタイミングがずれ、全体の振れ幅がならされます。
実例を見てみましょう。リーマン・ショックが起きた2008年度、GPIFの運用実績は国内株式が-35.55%、外国株式が-43.21%でした。一方で国内債券は+1.35%となり、債券を多く組み合わせていた市場運用分の全体では-10.04%にとどまっています。
この差は、その後の回復のしやすさに直結します。資産が43%減ると、元の金額に戻すには約75%の値上がりが必要です。たとえば100万円が43%減ると57万円になり、100万円に戻すには43万円、つまり57万円の約75%を増やさなければなりません。
分散投資は大きく増やすための方法というより、「取り返しのつかない減り方」を避けるための方法だといえます。
出典:GPIF「平成20年度 業務概況書」
「卵を一つのかごに盛るな」の本当の意味とは
分散投資の説明でよく使われるのが、「卵を一つのかごに盛るな」という格言です。卵を複数のかごに分けておけば、一つのかごを落としても残りは無事だという教えです。
ただし、かごを分けても置き場所が同じでは意味がありません。10個のかごを同じ棚に並べていたら、棚が倒れたときに全部割れてしまいます。分けるべきなのは、かごの数ではなく置き場所です。
この値動きの連動の度合いを、投資の世界では相関(相関係数)と呼びます。相関係数は1からマイナス1の範囲で表され、1に近いほど同じ方向へ、マイナス1に近いほど逆方向へ動く関係です。値動きが連動しにくい資産を組み合わせるほど、リスク分散の効果は高まります。
出典:GPIF「分散投資の意義③卵を一つのかごに盛るな」
株も債券も不動産も景気と金利の影響を受ける
株式と債券は逆方向に動きやすく、組み合わせればリスクヘッジ(損失への備え)になるとされてきました。景気が悪化して株式が売られる局面では、安全資産とされる債券が買われやすいためです。
しかし、この関係は常に成り立つわけではありません。GPIFの運用実績を見ると、2022年7〜9月期の収益率は国内債券-0.79%、外国債券-1.54%、国内株式-0.84%、外国株式-0.49%でした。4つの資産がそろってマイナスとなり、2022年4〜12月の累計でも全資産がマイナスです。
背景には金利の上昇があります。同じ資料によると、米国10年国債の利回りは2022年3月末の2.32%から、12月末には3.88%へ上がりました。金利が上がると既発の債券価格は下がり、景気減速への懸念から株式も売られたのです。
不動産も、ローン金利や景気の影響を受ける点では同じです。伝統的な資産はいずれも景気と金利に左右されるため、組み合わせても分散効果が得られない事態は起こり得ます。
出典:GPIF「2022年度第3四半期運用状況(速報)」
❖分散投資で備えるべきは値下がりだけではない
「分散投資は意味ない」「デメリットが多い」という意見を見かけたことがあるかもしれません。
主な理由は、値上がりした資産の利益を他の資産が薄めてリターンが平均化される点と、分けすぎると管理が煩雑になり効率が落ちる点です。また、崩れた配分を定期的に整え直すリバランス(資産配分の調整)の手間もかかります。
ただし、これは値動きだけを見た評価です。資産を持つ目的が「増やす」だけでなく「守り、家族に渡す」なら、見るべきリスクは価格変動にとどまりません。ここからは、値下がり以外の3つのリスクを確認します。
売りたいときに売れない「流動性リスク」
流動性とは、資産を現金に換えやすいかどうかの度合いです。上場株式は市場が開いていれば売却できますが、不動産や非上場の資産は、買い手が見つからなければ売れません。急いで現金化しようとすると、価格を下げなければ買い手がつかない場合もあります。
ここで押さえたいのは、「評価額」と「実際に換金できる金額」は別物だという点です。たとえば査定では3,000万円とされた物件でも、必要な時期にその金額で売れるとは限りません。
年齢とともに重くなる維持コストと手間のリスク
資産のなかには、持ち続けるだけでコストと手間がかかるものも少なくありません。代表例が賃貸不動産です。管理会社とのやり取りや修繕、入居者対応、毎年の確定申告といった作業が続きます。
さらに、判断能力の問題も無視できません。厚生労働省の資料によると、認知症の高齢者は2022年時点で約443万人と推計され、2040年には約584万人に達する見込みです。判断能力が大きく低下すると、不動産の売却といった契約そのものが難しくなります。ご自身の将来だけでなく、親御さんの資産を見守る立場の方にも関わる問題です。
出典:厚生労働省「認知症施策推進基本計画」
分けられない資産が家族を困らせる「出口・承継のリスク」
資産を家族へ引き継ぐときのリスクも無視できません。分割が難しかったり、評価額が定まりにくかったりすると、相続の場面で家族が困る可能性があります。
裁判所の司法統計によると、2024年に家庭裁判所で調停成立・認容となった遺産分割事件は7,903件でした。全体の約79%で、遺産に土地や建物が含まれています。
話し合いがまとまらなければ、遺された家族は納得のいかない条件で、大切な資産を手放す結果にもなりかねません。若い世代にとっては、親の資産を引き継ぐ側として直面しうる問題です。
「自分が損をするかどうか」に加えて、「渡すときに家族が困らないか」という視点を持つと、分散投資の意味合いが変わって見えてきます。
出典:裁判所「司法統計年報(家事編)令和6年 第52表」
❖分散投資のポートフォリオを考える前に資産を「性質」で棚卸しする
ポートフォリオ(資産の組み合わせ)や配分の割合を考える前におすすめしたいのが、資産の棚卸しです。「種類」ではなく「性質」に注目し、手持ちの資産を整理してみましょう。
4つの軸で資産を比べてみる
比較の際に重視すべき軸は、①景気・金利との連動性、②換金のしやすさ、③保管・管理の手間、④分けやすさ・引き継ぎやすさの4つです。代表的な4つの資産を並べると、次のようになります。
| 資産 | 景気・金利との連動性 | 換金のしやすさ | 保管・管理の手間 | 分けやすさ・引き継ぎやすさ |
| 株式 | 連動しやすい(景気・金利に敏感) | 換金しやすい(数営業日) | 小さい | 分けやすい(株数単位) |
| 債券 | 連動しやすい(金利上昇で価格下落) | 比較的換金しやすい(中途売却は時価) | 小さい | 分けやすい(額面単位) |
| 不動産 | 連動しやすい(金利・景気・地域経済) | 換金しにくい(数か月かかる) | 大きい(管理・修繕・申告) | 分けにくい(共有は全員の同意が必要) |
| 現金・預金 | 名目額は動かない(インフレで実質的に目減り) | 最も換金しやすい | 小さい | 最も分けやすい |
※一般的な傾向を整理したもので、個別の商品や物件によって異なります。
景気・金利との連動性
株式・債券・不動産は、金利上昇で同じ方向に動く局面があります。
現金・預金は額面の金額が変わらないため、安全に見えます。しかし総務省の消費者物価指数は、2020年を100として2025年平均で111.9まで上昇しました。5年前と同じ100万円で買えるモノやサービスは、およそ1割減った計算です。つまり、保有資産が預金中心だと、インフレ(物価上昇)に対しては脆弱な状況です。
出典:総務省統計局「2020年基準 消費者物価指数 全国 2025年(令和7年)平均」
換金のしやすさ
換金性が最も高いのは現金・預金で、売却から数営業日で現金化できる上場株式や投資信託が続きます。一方、不動産は買い手探しから決済まで、数か月(場合によっては1年以上)かかるのが一般的です。
換金性の低い資産に偏っているなら、すぐ使える資金を別に確保しておく必要があります。急な出費が生じたときに換金しにくい資産しか手元になければ、買い手の言い値で売るしかなくなるためです。生活状況によって異なりますが、 生活費の半年分程度を預貯金で確保しておけば、値下がり局面で慌てて手放す事態を避けやすくなります。
保管・管理の手間
株式や債券、投資信託などのペーパーアセットは、保有しているだけであれば手間はほとんどかかりません。一方で、不動産は継続的な事務作業とコストが発生します。
また、貴金属や美術品のような現物の資産は、保管場所や盗難への備えが必要です。10年後・20年後の自分が続けられるかという目線で、ご自身の資産を整理しておくと安心です。
分けやすさ・引き継ぎやすさ
現金や上場株式は、金額や株数の単位で細かく分けられます。対して、不動産は物理的に切り分けられません。
不動産を複数人で引き継ぐ場合、共有名義にして相続するという方法はあります。しかし、建て替えや大規模な改修など共有物に大きな変更を加える場合や物件を売却する場合には、共有者全員の同意が必要です。意見が割れると、売却も活用も進めにくい点は否めません。
ここまで4つの軸で比較した内容を整理すると、分けやすい株式や債券は景気・金利と連動しやすく、現金はインフレに弱い傾向です。不動産は分けにくく、手間もかかります。これが、伝統的な資産だけで組んだ場合の限界です。
❖伝統資産だけでは埋まらない部分を担う「実物資産」という選択肢
分散投資の一角で、伝統資産以外に検討したいのが「実物資産」です。実物資産とは、金や銀などの貴金属、美術品やアンティークコインのように、モノそのものに価値がある資産を指します。株式や債券といった伝統的な資産以外の投資対象という意味で、オルタナティブ資産(代替資産)とも呼ばれる分野です。
伝統資産以外にも目を向ける考え方は、運用のプロにも共通します。GPIFは、上場株式や債券とは異なるリスク・リターンの特性を持つ資産として、資産全体の5%を上限にオルタナティブ資産を組み入れています。GPIFの対象はインフラや不動産などで、個人が持つ実物資産とは中身が違うものの、「値動きの理由が違う資産を少し加える」という発想は同じです。
また、海外では古くから、レアコインが資産運用の対象として活用されてきました。米国では1979年以降、退職年金関連の資産運用にレアコインを取り入れる動きが広がりました。公的基金が、レアコインファンドへ5,000万ドルを投資した事例もあります。
現在でも、米国のContursi family officeが投資家向けの共同投資ファンドを運営しています。同社によると、過去数十年にわたり自己資金2億8,200万ドルをレアコイン市場へ投じてきました。特に年金基金は、加入者の老後を支えるために「増やす」より「守る」ことが求められます。その運用先にレアコインが選ばれてきたことは、レアコインが長期の分散先として認められてきた証といえます。
実物資産の中でも、アンティークコインならではの強みや機能を整理すると以下のとおりです。
同じコインが新たに発行されることはない:数十年〜数百年前に発行されたもので、基本的には当時のコインが今後追加で発行されない
値動きの理由が株式や債券と異なる:価格は希少性・保存状態・歴史性、そして世界の収集家の需要に左右される。企業業績や金利を主な理由として動く資産ではない
持ち運びしやすい現物として手元に残る:手のひらに収まる大きさで、管理会社も修繕も不要。金融機関や企業の経営状態に価値が左右されにくい点も特徴
1枚単位で分けられる:複数枚で保有していれば、相続の際に枚数で分けられ、複数の相続人へ分けて引き継ぎやすい
なお、金貨の場合は、素材である金そのものにも価値があります。コインとしての評価に加えて、金の地金としての価値を備えている点は強みです。
一方で、金相場が下落すれば金貨の地金部分の価値も下がります。金の国際価格はドル建てで決まるため、円高が進むと円換算の価値が目減りする点もあわせて押さえておきましょう。
もちろん、あらゆる面で優れた資産は存在しません。株式には成長性、債券には利息収入、不動産には家賃収入、現金には即時性という強みがあります。実物資産はそれらを置き換えるものではなく、足りない性質を補う選択肢の一つです。
出典:GPIF「オルタナティブ資産の運用」
❖実物資産を持つ前に知っておきたい注意点
実物資産、とくにアンティークコインの良い面だけでなく、注意点も確認しておきましょう。
価格の透明性が株式ほど高くない:上場株式のように、日々の取引価格が公開される市場はない。相場はオークションの落札記録や専門店の販売価格から把握する
真贋と鑑定が重要:精巧な偽物も存在する。NGC・PCGSといった世界的な鑑定機関が真贋と状態を評価し、スラブ(鑑定結果とともに封入する専用ケース)に収めたコインを選ぶのが基本
売買時にスプレッドがある:販売価格と買取価格には差(スプレッド)がある。購入直後に売却すると、差額分が損失になりやすい構造
短期売買には向かない:換金には一定の日数を要する場合があり、5年・10年単位で保有する資産と考えるのが現実的
こうした注意点のなかでも真贋については、購入者自身で確かめる手段があります。NGC・PCGSの鑑定済みコインには、スラブのラベルに1枚ごとの鑑定番号(認証番号)が記載されています。
コインの鑑定番号は、鑑定機関の公式サイトで照合できます。購入先を選ぶ際は、真贋保証の有無に加えて、売却時の「出口」まで相談できるかを確認しておくと安心です。
なお、実物資産への投資を始める際にも、生活資金や近い将来に使う予定のある資金を充てるのは適していません。余裕資金の範囲で、資産全体の一部として組み入れるのが前提です。割合に唯一の正解はなく、年齢や家族構成、他の資産とのバランスによって変わります。
出典:NGC公式サイト/PCGS公式サイト
❖まとめ:分散投資とは「増やす」より「守り、渡す」ための技術
分散投資の本質は、資産の数を増やすことではなく、値動きの理由と性質が異なる資産を組み合わせる点にあります。そして備えるべき相手は、値下がりだけではありません。「売りたいときに売れるか」「家族へスムーズに渡せるか」なども考えましょう。
まずは手持ちの資産を棚卸しして、偏りがないかを確かめてみてください。分散の選択肢は、時間に余裕があるほど多く残されているものです。20代・30代なら積立を続けながら資産の種類を少しずつ広げていけますし、40代・50代は換金性や引き継ぎやすさまで含めて整える好機です。もちろん、60代から見直しても遅すぎることはありません。これまで築いてきた資産を守り、家族へどう引き継ぐかという視点から見直していくことが大切です。
❖分散投資におすすめのアンティークコイン3選
ここからは、PRIME MINTが厳選した資産防衛におすすめの3枚を紹介します。いずれもNGC・PCGSの鑑定済みで、金としての価値を土台に持ちながら、希少性や歴史的背景など、コイン固有の価値も備えていることが特徴です。
| コイン名 | 発行年 | 鑑定 |
| ジョージ6世 5ポンド金貨 | 1937年 | NGC PF66 |
| ナポレオン1世 20フラン金貨 | 1815年 | PCGS AU58 |
| オーストリア 雲上の女神 100コロナ金貨 |
1908年 | NGC PF55 |
ジョージ6世 5ポンド金貨

1937年の戴冠を記念して発行された、単年発行・発行数5,500枚のプルーフ(鏡面仕上げの特別製造)5ポンド金貨です。第二次世界大戦の激動期に国民へ寄り添い続けた国王として人気が高く、映画『英国王のスピーチ』のモデルとしても知られています。
イギリスの5ポンド金貨は、歴代君主ごとに発行されたコレクション性の高いシリーズとして人気を集めています。なかでも、ヴィクトリア女王以降の近代5ポンド金貨を揃えることは、英国コインを代表する王道コレクションの一つです。
ジョージ6世の5ポンド金貨は、そのコレクションを完成させるうえで欠かせない1枚であり、「シリーズを完集させたい」という需要も価格を支える要因の一つとなっています。
約40gという大型金貨ならではの金そのものの価値に加え、5,500枚という発行数の少なさ、そして歴代5ポンド金貨としてのコレクター需要など、複数の側面から価値が支えられていることがこのコインの大きな特徴です。
地金価値・希少性・コレクション需要という複数の要因が価値を支えており、一つの要因に依存しにくいことから、アンティークコインのなかでも分散投資の選択肢として取り入れやすい一枚といえるでしょう。
ナポレオン1世 20フラン金貨

ヨーロッパ全土にその名を轟かせた皇帝ナポレオン1世の肖像を刻む、ナポレオン金貨を代表する一枚です。20フラン金貨はその後1世紀以上にわたりフランス金貨の基準となり、ヨーロッパの通貨制度にも大きな影響を与えました。
ナポレオンという世界的な知名度を持ち、国内外に幅広いコレクターが存在することは、このコインの大きな強みです。世界中のコレクターが知る高い知名度は、そのまま売却時の買い手のつきやすさにつながります。また、20フラン金貨は大型金貨と比べて比較的手に取りやすい価格帯から検討できるため、アンティークコインへの分散を少額から始めたい方にも取り入れやすい一枚です。
なかでも1815年に発行された20フラン金貨は、ナポレオンがエルバ島から帰還し、再び皇帝の座についた「百日天下」の時期に発行された一枚です。その期間はわずか約100日と短く、ナポレオンの劇的な復権と失脚という歴史を刻んだ一枚として、コレクターからも高い人気を集めています。
比較的手に取りやすい価格帯でありながら、世界的な知名度による幅広い需要と売却時の流動性、さらに「百日天下」という歴史的価値とコレクター人気を備えていることから、アンティークコインのなかでも、分散投資の入り口として検討しやすい一枚といえるでしょう。
オーストリア 雲上の女神 100コロナ金貨

1908年にオーストリア帝国の皇帝フランツ・ヨーゼフ1世の在位60周年を記念して発行された100コロナ金貨です。
表面には威厳に満ちた皇帝の肖像が描かれており、裏面には国家の理念を象徴する「雲上の女神」がデザインされています。
単なる記念貨幣にとどまらず、優美なデザインと芸術性の高さから、オーストリアを代表する名品の一つとして知られています。
また、本コインは宝塚歌劇の人気演目「エリザベート」などを通じて広く認知されており、日本国内でも特に人気の高いアンティークコインの一つです。
知名度が高く安定した需要があることから、多くのコレクターに支持され、資産価値の面でも高く評価されています。
さらに、発行枚数の少なさも希少性に拍車をかけています。もともとの発行枚数は16,026枚でしたが、現存する良好な状態の金貨は極めて限定的です。
大型金貨としての金そのものの価値に加え、希少性や芸術性、国内での高い知名度と安定したコレクター需要など、複数の側面から価値が支えられていることが本コインの大きな強みです。一つの要因だけに価値を依存しにくいことから、長期的な資産保全を意識した分散投資の選択肢としても検討しやすい一枚といえるでしょう。
なお、ここで紹介したコインは一例です。ご予算や現在の資産構成、目的などを伺ったうえで、その方に合ったコインをご提案できます。
PRIME MINTでは、真贋保証付きのNGC・PCGS鑑定済みコインを中心に、購入から将来の売却、ご家族への引き継ぎまでを見据えたご相談を承っています。アンティークコインが自分の資産構成に合うのかを知りたいという段階でも、お気軽にご相談ください。
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柴田 充輝 (しばた みつき)
合同会社柴田人事労務オフィス 代表
1級ファイナンシャル・プランニング技能士 / 社会保険労務士
プロフィール
厚生労働省、保険業界、不動産業界で培った実務経験をもとに、1級ファイナンシャル・プランニング技能士(FP1級)および社会保険労務士として、多くの家庭の家計改善や資産運用をサポート。
金融資産だけでなく、金貨やアンティークコイン、不動産などの実物資産を組み入れた資産運用にも知見を有し、金融・投資分野を中心に、金貨・アンティークコインに関する記事の執筆・監修も手がける。
金融メディアを中心に、これまで1,500本以上の記事を執筆。
本記事は、アンティークコイン専門店 PRIME MINT を運営する株式会社Prime Mint Archiveが編集・監修を行っています。市場動向、コインの歴史、商品情報、真贋に関する内容について専門的な観点から確認・検証を行い、正確で信頼性の高い情報の提供に努めています。