アンティークコイン投資は稼げるか?儲かるか?
アンティークコイン投資で稼ぐことに関心を持っている人は多いでしょう。
コレクターであって価格に興味はない場合でも、自分のコインの価格が上昇すれば悪い気分ではないはずです。
そこで、アンティークコイン投資は儲かるのかどうか、考察します。
❖稼げる・儲かるための条件
考えるまでもないかもしれませんが、アンティークコイン投資で儲かる条件を確認します。
将来の価格が確実に上昇するなら今すぐに買うべきですが、将来の価格は誰にもわかりません。
だから、今買う人もいれば、将来になってから買う人もいます。
不確実な世界で買って、将来いつか誰かがもっと高い金額で買ってくれたら、その投資は成功と言えます。
今買うべきか。そして、買うべきならどのコインか。
私たちにできるのは、過去と現在の情報を使って分析し、将来の見通しを立てることです。
そこで、コインの価値を2つに分解して、それぞれを分析します。
❖アンティークコインの価値の分析
アンティークコインの価値の源を大きく分けると、以下の通りです。
・その他の価値等
最近のアンティークコイン投資で注目を集めているのは金貨なので、金属は金(ゴールド)として話を進めます。
金先物の価格推移
上は金先物のチャートで、2008年以降を示しています。
一直線の右肩上がりが望ましいのですが、現実は下落の場面があります。
アンティークコインを買ってから価格が上昇するのは何の問題もないので、価格下落局面を注視しましょう。
金価格は2011年に1,830ドルを記録し、2015年に1,060ドルまで下落しました。
この間の下落幅は、およそ42%にもなります。
その後、上昇に転じており、2011年の高値を超えたのは2020年です。
2011年の最高値で金を買ったら含み損の苦しみを味わうことになり、含み益に転じるまでに9年の月日を要しました。
アンティークコインの価格も同様の動きだと仮定すると、4,000ドルを超えた現在の価格ではコインを新規に買いづらいです。
金相場が下落に転じたら、コインも含み損になってしまうからです。
そこで、コインカタログ『Coins of England & the United Kingdom』を使って、2010年代を中心にコイン価格の推移を確認しましょう。
コイン価格の推移
1725年 イギリス ジョージ1世 ハーフギニー 1/2ギニー金貨(画像:PRIME MINT)
アンティークコインの例として、PRIME MINTで販売中の1/2ギニー(ハーフギニー)金貨を使います。
販売中のハーフギニーのグレードはMS63であり、未使用に相当します。
この高グレードのコインは現存枚数が少なく、カタログに価格が書いてありません。
そこで、カタログ内の最高グレードであるEF(極美品)を使い、2011年のカタログ価格を1として推移を紹介します。
| 書籍の年号 | 価格上昇率(ポンド建て) |
| 2011 | 1 |
| 2016 | 37.5%の上昇 |
| 2021 | 100%の上昇(価格は2倍) |
金価格は大きく下落した期間があったのに、この金貨はほぼ同じ期間で下がるどころか上昇しており、10年で2倍になりました。
2025年現在の価格はさらに上昇しています。
金価格は下落したのにハーフギニーの価格が上昇したということは、素材価値以外の価値(その他の価値等)が大幅に上昇したことを示します。
その他の価値等の中身
アンティークコインの価値の内訳は、金属の価値とその他の価値等です。
その他の価値等には、以下の内容が含まれます。
・芸術的価値
・コインの希少性
・発行国の人気
・アンティークコインそのものの人気
・投資目的の買い(=積極的な価格上昇を狙う)
・資産防衛目的の買い(=資産を減らさないことを主眼とする)
他にもあるかもしれません。
これらを具体的な金額で示すのは困難ですが、時間の経過とともに上昇するか下落するかについて概観しましょう。
| 項目 | 価値などの変動 |
| 歴史的価値 | 変わる可能性はあるが、変動しても速度はゆっくりだと考えられる |
| 芸術的価値 | 変わる可能性はあるが、変動しても速度はゆっくりだと考えられる |
| コインの希少性 | 上昇一辺倒 |
| 発行国の人気 | 変わる可能性はあるが、変動しても速度はゆっくりだと考えられる |
| アンティークコイン人気 | 変動する可能性あり |
| 投資目的の買い | コイン価格が上昇すると、投資熱も高まる可能性 コイン価格が下落すると、投資熱も下がる可能性 |
| 資産防衛目的の買い | 通貨価値が落ちれば落ちるほど、世界が不安定になればなるほど高まる可能性 |
確実に上昇すると断定できるのは、コインの希少性です。
アンティークコインは過去に作られたコインであって、再生産できません。
仮に再生産しても、それはレプリカであり別のコインとして扱われます。
時間が経過すればするほど、アンティークコインは火事や紛失等によって現存枚数が減っていきます。
また、歴史的価値や芸術的価値は簡単には変動しないと予想できます。
発行国の人気も上下動しますが、今回の調査対象のハーフギニーを作った国であるイギリスは、10年の間に人気が爆発的に上昇したとも思えません。
2010年代にこのハーフギニーの価格が上昇した大きな理由は、投資目的と資産防衛目的の可能性があります。
2010年代前半はユーロ圏の債務危機が発生した時期と重なっており、資産防衛目的の方が理由として強いかもしれません。
特に危機が発生していなくても、通貨価値は毎年確実に落ちています。インフレです。
去年100円で買えたものが、今年は105円出さないと買えない。
物は同じなのですが通貨の価値が落ちたので、買うにはより多くのお金が必要になっているのです。
今回のハーフギニーも同様で、金貨は何も変化していないけれど物価が上がった結果、コイン価格も上がっているという面がありそうです。
今回の調査対象となったハーフギニーは、金価格の下落時にも価格が上昇しました。
2024年以降においては、金価格の上昇や通貨価値の下落を受けてさらに上昇しています。
❖今後も価格は上昇するか
では、今回のハーフギニーに限らず、歴史的価値が高いコインの価格は今後も上昇するでしょうか。
あるいは、下落するでしょうか。
断定できないものの、過去の実績を見るならば、上昇を期待できるのではないかと予想できます。
2010年代、金価格が40%以上下落しても、今回のハーフギニーの価格は下がりませんでした。
今後、投資目的や資産防衛目的の購入希望者が劇的に減少すれば、価格は下がる可能性があります。
しかし、物価上昇率は高く、ロシアによる軍事侵攻や中東地域の混乱などを受けて地政学リスクは高く、地球温暖化で農産物や漁業等にも影響が出ている状態です。
各国の財政事情はよいとは言えず、これも、金の需要増加要因です。
近い将来に資産防衛熱は収まるだろうと予想するのは、やや難しいようにも思います。
資産防衛熱が収まるならば、世界全体が平和な方向に向かっているということであり、喜ばしいことでもあります。
検討の結果、コインを買うことに決めたら、どのコインを買うべきか?に注目しましょう。
投資目的の買いなどは状況に応じて上下動する一方、コインの希少性は上昇一辺倒です。
買ってから価格下落の憂き目にできるだけ遭いたくない、より高い価格上昇率を得たいという場合、希少性の高いコインが狙い目です。
さらに、コインを選ぶ際に歴史やデザインに目を向けていただくと、生活が豊かになる可能性があります。
ナポレオンが活躍した時代に実際に流通した金貨、神聖ローマ帝国(現ドイツ)内の領主が特別な目的で作った希少金貨など、本物を手にしていただくと、歴史への興味関心が深まるでしょう。
最後に、コイン価格が一時的であっても下落する場合を想定してみます。
・ロシアの軍事侵攻が終了し、中東の地政学リスクも大きく後退
ロシアの軍事侵攻はいずれ終結し、中東地域の緊張も一時的に和らぐ可能性があります。
世界の安定と平和の実現こそが何より望ましいことですが、現在の地政学リスクが緩和したとしても、経済や金融の不安定要素が完全に消えるわけではありません。
その意味では、アンティークコインのような実物資産が評価される土壌は、今後も変わりにくいと考えられます。