コインとメダルの違い

コインとメダルの違い

 

スタッフのひとことナビ
Mina Yoshii(コイン歴2年)
今回は、「コインとメダルは何が違うのか」という、知っているようで意外と曖昧なテーマに触れていくコラムなんですね。
見た目はよく似ているのに、貨幣としての役割や作られ方、集められ方まで少しずつ違っていて、読み進めるほどにその境界の面白さが見えてきます。
普段はあまり意識せずに「コイン」「メダル」と呼んでいますが、その違いを知ることで、これまで見ていた一枚の印象も少し変わってくるかもしれません。
そんな感覚を楽しみながら、気軽に読み進めてみてください。

 

 

PRIME MINTはコイン(貨幣)を中心に扱っていますが、メダルもご用意しています。
イギリスのエドワード7世(在位:1901年~1910年)時代の金貨と金メダルを比べてみましょう。

 

2ポンド金貨:

1902年 イギリス エドワード7世 2ポンド金貨 S-3968 マットプルーフ(画像:PRIME MINT)

戴冠記念金メダル:

1902年 イギリス エドワード7世 戴冠記念 金メダル BHM-3737 31mm(画像:PRIME MINT)

上の金貨と金メダルを比べると、特に大きな違いがあるようには見えません。
形は丸く、中心に肖像が描かれていて、周囲には文字が刻印してあります。
実際のところ、コインとメダルの区別は厳密でなく、あいまいな部分が少なくないのが特徴です。
そこで、コインとメダルの違いをわかりやすく解説していきます。

 

 

項目別に比較

製造技術の発達後の時代について、コインとメダルの違いを表にすると以下の通りです。
例外があるので、すべてのコイン・メダルに当てはまるというわけではありません。

項目 コイン メダル
貨幣かどうか はい いいえ
製造枚数 多い 少ない
額面金額の刻印 あり なし
デザインの凹凸 小さい 大きい
その他 発行者がコインだと主張すれば何でもコインになりうる 何かを記念して作られる

 

 

貨幣かどうか

何かが貨幣であるといえるためには、時間が経過しても変質せず(腐ったり蒸発したりしない)、額面の価値に変化がなく、他の物品と交換できる必要があります。
例えば、500円硬貨はいつまで経っても500円の額面金額で、500円以内の商品を自由に買うことができます。
メダルの場合、時間が経過しても変質しないという点は満たすものの、全員に同一の価値だと認めてもらえるわけではないので、自由に物を買えません。

ただし、メダルなのに貨幣として流通したという例があり、その代表格がソーコールドテーラー(so called taler)が挙げられます。
テーラー銀貨と同じ規格で作られており、規格が同じならデザインが違っても銀貨として使っていいんじゃね?的な感じで流通しました。

 

1851年 ジュネーブ 射撃祭記念銀メダル ソーコールドテーラー(画像出典:日本コインオークション

上のメダルは、ジュネーブの射撃祭記念メダル(1851年発行)です。
銀貨と同じ規格(ソーコールドテーラー)で制作され、発行枚数は1,274枚です。

メダルで発行数が少ないのに、通常貨と同じように支払いに使われた例もあるということは、高グレード品を探すのがやや難しいという意味になります。
高グレード品を手にする機会に恵まれたら、幸運なことです。

 

 

製造枚数

コインは領内の人々に広く使用してもらう必要があるので、発行枚数はとても多くなります。
ナポレオン3世の20フラン金貨の場合、累計発行枚数は億の単位です。
現代の日本を見ると、1円硬貨の総発行枚数は4千万枚を優に超えています。

一方、メダルは何かの記念として発行され、関係者に配られるという性質です。
広く普及させる目的はないので、発行枚数はコインに比べて桁違いに少なくなりがちです。
希少性という面では、メダルに軍配が上がると言えるでしょう。

なお、製造枚数についても、例外があります。
領主が特別なコインを贈答用に発行した場合が典型的で、発行枚数は10枚に満たない場合があります。
神聖ローマ帝国の金貨にはわずかに発行されたという例がいくつもあり、いずれも破格の高値で取引されているのが特徴です。

 

 

額面金額の刻印

コインの場合「このコインはいくらなのか」が書いてあります。
500円硬貨なら500円、100円硬貨なら100円という具合です。
メダルの場合、そもそも貨幣でないので額面金額は書いてありません。

ごく当たり前のように思えるのですが、これにも例外があるのが面白いところです。
冒頭のエドワード7世の2ポンド金貨を再掲します。

 

1902年 イギリス エドワード7世 2ポンド金貨 S-3968 マットプルーフ(画像:PRIME MINT)

どこにも2ポンドとは書いてありません。
「大きさで分かるから、わざわざ書かなくてもよいでしょ」という意味であり、確かにそうなのですが他国ではなかなか見られない特徴です。

なお、金貨や銀貨の場合、現代社会では額面金額通りに流通しないことが一般的です。

 

1985年 中華人民共和国 パンダ 100元金貨(画像出典:日本コインオークション

上のパンダ金貨の額面は100元ですが、100元で使用したいという人はいないはず。
金(ゴールド)の価値のほうが圧倒的に高いので、コインの取引の際には金の価値を基準にして値段が決められます。

 

 

デザインの凹凸

デザインの凹凸とは、デザインの彫りの深さや盛り上がっている部分の高さのことです。

コインの場合、積み重ねて枚数を管理することがあります。
デザインの凹凸がはっきりしすぎていると何枚も積み重ねて使えません。
そこで、コインのデザインは凹凸があまり大きくないことが特徴です。

 

PRIME MINTにて作成

一方、メダルは積み重ねを考慮する必要がなく、見た目の華やかさを重視して大きな凹凸をつけることができます。

 

1813年 フランス ナポレオン1世 セニス山の記念碑建設 銀メダル(画像:PRIME MINT)

上の銀メダルは、ナポレオン1世が戦勝記念の記念碑を作ることを命じたことを記念して作ったメダルです。
斜めから撮影した写真を見ると、凹凸がはっきりしている様子が分かります。
デザインの素晴らしさを重視したい場合、メダル収集は有力な候補です。

 

 

その他

その他の特徴として、2点紹介しましょう。

・どんな物でもコインになりうる
・価格はメダルのほうが安め

 

どんな物でもコインになりうる

コインは「発行者がコインだと言えばどんな物でもコインになりうる」という特徴があります。

例えば、材質。一般的には、金・銀・銅あたりが思いつくところでしょう。
しかし、陶貨(とうか)といって陶製の貨幣もあり、戦時中の日本で製造されました(未流通)。
また、現代の記念コインはさまざまな形で発行されており、楽器やダイヤモンドの形をしたものがあります。
記念コインなので実用性を考慮する必要がなく、各国の造幣局はコレクターの需要に応じて柔軟に製造しているのでしょう。
大きさもさまざまで、直径が数㎝に満たないような小さなものから、1mを超える巨大なものもあります。

コインの範囲はとても広く、発行者が「これはコイン(貨幣)だ」と言えば何でもコインになってしまいそうな勢いです。

 

価格はメダルのほうが安め

コインとメダルは似ていますが、コレクションのカテゴリーは異なります。
コレクターの人数にも違いがあり、メダルコレクターの人数はコインコレクターよりも少ないと言われています。
これを反映して、メダルはコインに比べてやや安い傾向です。
発行枚数はメダルのほうが少なく、デザインの自由度もメダルのほうが高いのですが、価格はやはりといいますか収集家の人数に影響されるのです。
しかし、メダルの良さの認識が広まるにつれて、価格は上昇する傾向にあります。
最終的には、コインかメダルかという2択でなく、「自分が欲しいものを買う」という選択をすればよいのではないかと思います。

 

 

コインとメダルの差はあいまい

コインとメダルにはさまざまな違いがあります。
製造枚数、額面金額の刻印、デザインの彫りの深さなど。
しかし、両者を明確に区別できる基準はなく、「発行者がコインと言えばコイン、メダルだと言えばメダル」というあいまいな感じです。

メダルは発行枚数が少ないこともあって、特定のメダルを探して買うのは難易度が高いです。
探しているけれども見つからない、そんなコインやメダルがありましたら、ぜひPRIME MINTへお気軽にご相談ください。

お問い合わせ・ご相談はこちら

 

 

スタッフのひとことコメント
S.Mori(コイン歴3年)

コインとメダル、はっきり分かれているようで、実際にはとても奥行きのある世界なんですね。
貨幣として作られたもの、記念として残されたもの、それぞれに役割や背景がありながら、ときにはその境界が曖昧になるところにも面白さを感じました。

これまでは「コインかメダルか」を意識せずに眺めていたものでも、発行された理由やデザインの違いに目を向けると、また少し違った魅力が見えてきそうですね。
次に一枚を手に取るときは、その作品がどんな目的で作られ、どんな人たちに受け取られてきたのか、そんなことを想像しながら眺めてみるのも楽しそうです。

 

一覧に戻る