西暦565~578年
ビザンチン帝国西暦565~578年 ビザンチン帝国 ユスティヌス2世 1ソリドゥス金貨 4.47g
NGC | MS 5/5-5/5
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コインの特徴
大帝の後継者が刻んだ転換期 ―
ユスティヌス2世のソリドゥス金貨
565年から578年にかけて発行されたビザンツ帝国のソリドゥス金貨には、 当時の皇帝ユスティヌス2世の肖像が描かれています。 ユスティヌス2世は、「大帝」と称されたユスティニアヌス1世の甥であり、 その後継者として帝位を継いだ人物です。
黄金期を築いたユスティニアヌス1世の後を継いだユスティヌス2世の治世は、
決して平坦なものではありませんでした。
外交や国庫の管理に苦慮し、各地からの蛮族の侵入にも頭を悩ませていたと伝えられています。
その背景には、前皇帝の時代に行われた大規模な戦争と建設事業によって
国庫が逼迫していたことに加え、
ペストの流行による人口減少など、帝国が内外ともに不安定な状況にあったことが挙げられます。
そうした困難な状況のなかで、
ユスティヌス2世は財政の立て直しと秩序の維持に努め、
叔父ユスティニアヌス1世が築いた広大な帝国の崩壊を食い止めようと奮闘しました。
当時のビザンツ帝国は、古代ローマ帝国の正統な後継国家として、
周辺諸国から一目置かれる存在でした。
ユスティヌス2世の治世に発行されたソリドゥス金貨も、
中世初期において高い信用を誇る国際的な価値を持つ金貨として流通していました。
表面に描かれたユスティヌス2世は、
ダイアデムと呼ばれる帯状の装飾を頭に着け、
世界支配を象徴する球体、グローブを手にしています。
古代ローマ帝国のコインに多く見られる横向きの肖像とは異なり、
正面を向いて描かれている点が大きな特徴です。
その表現には、ビザンツ帝国で普及した宗教画イコンと通じる作風が感じられ、
皇帝の神聖性と権威を強く印象づけています。
裏面には、ビザンツ帝国の首都コンスタンティノープルを擬人化した女神像が描かれています。
女神が手にしているのは、権力を象徴する権杖と十字架。
聖俗両面における支配力を誇示した意匠です。
座する女神像が描かれる例は比較的珍しく、
美しさと威厳を併せ持つこの姿は、
本コインが高い人気を誇る理由のひとつとなっています。
なお、この像の解釈については文献によって見解が分かれています。
英語圏では「勝利の女神ヴィクトリア」とされる場合もありますが、
近年の研究では「コンスタンティノープルの擬人像」とする説が有力です。
学界においても、6世紀中盤以降は都市擬人像への移行が主流とされています。
大帝ユスティニアヌス1世の時代のコインが黄金期の象徴として人気を集める一方で、
ユスティヌス2世の時代のソリドゥス金貨は、
帝国の転換期を伝える歴史的証人としての魅力を備えています。
15世紀まで続いたビザンツ帝国の最盛期に発行された金貨として、
歴史的・美術的価値の両面から高く評価される一枚です。
ポピュレーション
発行枚数
資料なし
鑑定枚数
資料なし
ポピュレーションハイヤー
資料なし
掲載のポピュレーション情報は、当店が確認した時点での公開データを基準としております。鑑定状況や発行元による情報更新等に伴い、数値が変更される場合がございます。
※資料によっては女神ヴィクトリア像とも解釈
CONOB
565年から578年にかけて発行されたユスティヌス2世のソリドゥス金貨は、
ビザンチン帝国の安定期を象徴する存在として、確固たる信用度を誇ったコインです。
叔父ユスティニアヌス1世大帝の跡を継いだユスティヌス2世は、
さまざまな国難と向き合うことになりますが、
帝国経済は比較的安定しており、ソリドゥス金貨も良貨として広く知られていました。
表面に描かれたユスティヌス2世の肖像は、
皇帝としての権威を明確に示す造形となっています。
頭部にはダイアデムと呼ばれる帯状の装飾が巻かれ、
甲冑とマントを身に着けた軍装姿は、
ペルシャやランゴバルド族との戦いに臨んでいた皇帝の姿を象徴しています。
右手に持つグローブ(globe)の上には、勝利の女神が立っています。
肖像の周囲を囲む銘文は、
DN IVSTINVS PP AVG
(Dominus Noster Iustinus Perpetuus Augustus)
と刻まれており、
「我らの主、永遠の皇帝ユスティヌス」
という意味を持っています。
裏面には、ビザンチン帝国の首都コンスタンティノープルを擬人化した女神像が描かれています。
「新しいローマ」と称されたコンスタンティノープルは、
当時のヨーロッパの知識人にとって憧れの都でした。
コインに表現された女神像も、
帝国の首都にふさわしい優雅さと力強さを備えています。
十字架と槍を手にする姿は、
宗教と軍事力の両面によって国を守るという思想を象徴しています。
なお、発行年や造幣所によっては、
十字架ではなくグローブを手にするタイプも存在します。
女神像の両脇には、
VICTORIA AVGGG
という銘文が確認できます。
「GGG」は皇帝の複数形を示し、
「皇帝たちの勝利」という意味を持っています。
さらに女神の足元には、
この金貨の価値を保証する「CONOB」という銘が刻まれています。
これは「コンスタンティノープルの純金
(CONstantinopolis OBryzum)」を意味するラテン語です。
ビザンチン帝国のソリドゥス金貨は、
10世紀以降、国力の低下とともに品位が徐々に下がっていきます。
それに対し、ユスティヌス2世の時代のソリドゥスは、
古代から中世にかけての国際通貨として、
きわめて高い信用度を誇っていました。
その輝きと価値は、
およそ1500年を経た現在においても、なお失われていません。
古代地中海世界を制覇したローマ帝国は、
4世紀後半に西と東へ分裂しました。
西ローマ帝国が476年に滅亡したのに対し、
東ローマ帝国、いわゆるビザンチン帝国は、
1453年まで存続します。
その長い歴史は、一般的に三つの時期に区分されます。
330年のコンスタンティノープル開都から610年頃までは「初期」。
その後、アラブ勢力との抗争やササン朝ペルシャとの長期戦によって国力が低下し、
行政制度や公用語を変革した610年以降は「中期」へと移行します。
ユスティヌス2世の前の皇帝、
ユスティニアヌス1世大帝の治世は、
ビザンチン帝国初期における黄金期とされています。
北アフリカやイベリア半島を含む広大な領土を勢力下に置き、
皇帝派キリスト教の守護者として、
聖俗両面において絶大な権力を誇りました。
その黄金期を引き継いだユスティヌス2世は、
大帝の甥にあたる人物です。
また、大帝以上に賢明であったとも評される皇后テオドラの姪、
ソフィアを妻に迎えており、
まさに生粋のロイヤルファミリーの一員でした。
しかし、ユスティヌス2世の即位後、
広大な領土を維持するための財政運営は次第に重荷となっていきます。
大帝ユスティニアヌス1世が講和政策を取っていた強国ペルシャとの戦争は再開され、
さらに北方からはランゴバルド族が侵入。
ユスティヌス2世は東西に奔走せざるを得ない状況に追い込まれました。
ユスティヌス2世は信仰心が厚く、
本来は温厚で優しい性格であったと伝えられています。
しかし、大帝崩御後の巨大帝国を背負う重圧から精神を病み、
妻ソフィアの勧めにより、
ティベリウスを養子として皇位を譲る決断を下しました。
ロイヤルファミリー内部にこうした混乱があったにもかかわらず、
当時のビザンチン帝国の国家基盤は依然として盤石でした。
経済は高い水準で安定し、
国際社会における信用も揺らぐことはありませんでした。
その安定と信頼の象徴として、
ユスティヌス2世の治世に発行されたソリドゥス金貨は、
現在でも高く評価されています。
配送・保証
配送と補償について
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黄金期の余韻と転換期の現実、その両方を併せ持つ点にこそ、 この時代のソリドゥスの面白さがあると思います。
スタッフY|50代前半・男性(コイン歴10年)