1625年
イギリス1625年 イギリス イングランド チャールズ1世 1ユナイト金貨 S-2686 Lis 9.02g
PCGS | AU58
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コインの特徴
1625年発行チャールズ1世ユナイト金貨は即位直後の静謐な肖像画が特徴
1625年、即位したばかりのイングランド国王チャールズ1世は、新しい時代の始まりを告げる金貨を発行しました。それがチャールズ1世のユナイト金貨です。この金貨の中でも、即位の年のみに発行されたデザインは、コレクターの間で「ファーストポートレート」と呼ばれています。チャールズ1世の栄光と悲劇が始まる前の、静謐な瞬間を今に伝える金貨です。
チャールズ1世のユナイト金貨は、彼の治世の比較的早い時期、1626年頃から、王権の強さをより強調する意図のもと、セカンド・ポートレートへと変更されました。そのため、1625年発行のファーストポートレートは発行期間が非常に短く、市場に流通する数量そのものがごくわずかで、現在では極めて入手困難な一枚です。
このユナイト金貨が発行された1625年、チャールズ1世はフランス王女ヘンリエッタ・マリアと結婚。夫婦仲のよさで知られていたチャールズ1世の新婚時代を象徴するかのように、ファーストポートレートは後年の肖像画よりも穏やかな表情が特徴。即位当時の王の落ち着きが伝わってきます。
また芸術を愛好し、ルーベンスやヴァン・ダイクなどの一流の芸術家たちを宮廷に招いて後援したチャールズ1世は、ルネサンス最後の君主とも呼ばれています。
スコットランド王とイングランド王を兼ねていたチャールズ1世のユナイト金貨には、「FLORENT CONCORDIA REGNA(調和によって王国は繁栄する)」と刻まれています。 しかしチャールズ1世は、16~17世紀にかけてイングランドで社会改革を目指したピューリタン(清教徒)と衝突。その結果、ピューリタン革命によって、チャールズ1世は処刑されることになります。こうした事情から、チャールズ1世のユナイト金貨は市場でまとまった数が流通することが少ないといわれています。
チャールズ1世の時代は、貿易によってイングランドの経済が繁栄し、ジェントリーと呼ばれる新興階級が成長した時期です。ユナイト金貨は、こうした富裕層の間で高額決済や支払いに使用されていました。
中産階級の成長によって、中世的な絶対王政から近代へ向かおうとしていた17世紀。そのはざまで、王としての栄光と悲劇を体現したチャールズ1世。1625年発行のユナイト金貨は、即位直後の王の姿を伝える貴重な1枚といえるでしょう。
ポピュレーション
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チャールズ1世というと、どうしても清教徒革命や処刑といった劇的な最期に目が向きがちです。しかし、このファーストポートレートを見ると、まだそんな未来を知らない若き国王の穏やかな表情が印象に残ります。
同じユナイト金貨でも発行年によって肖像の雰囲気が異なりますが、即位の年だけに見られるこの柔らかさは特別な魅力ですね。コインとしての希少性はもちろんですが、一人の王の人生の転換点を伝えてくれる歴史資料としても興味深い一枚だと思います。
スタッフY|50代前半・男性(コイン歴10年)
1625年にユナイト金貨が発行された当時、チャールズ1世は25歳。実年齢よりもかなり成熟して見える肖像画は、王の威厳や貫禄を最優先させたためといわれています。
翌年から発行されるセカンドポートレートのシャープなラインと比べると、王の顔や体型はふっくらとしています。表情も穏やかで、即位と新婚生活による充足感が感じられます。
王の周りを囲む文字は「CAROLVS D.G. MAG BR FR ET HI REX (大ブリテン・フランス・アイルランドの王チャールズ)」です。
裏側の紋章は、左上と右下に、フランス王家の百合とイングランドの3頭の獅子を組み合わせた四分割合併紋章が入り、これは当時の様式に従い同一の紋章を対角線上に配置する構成になっています。右上にある後ろ足で立つライオンが、スコットランドの紋章。左下のハープが、アイルランドの紋章です。
ユナイト(統一)の名にふさわしい複数国の王位を表すコインから、当時のイングランドの事情が分かります。
チャールズ1世は、スチュアート王朝2代目のイングランド王です。
処女王と呼ばれたエリザベス1世(1533~1603年)が子どもを残さないまま亡くなった後、親戚でスコットランド王であったジェームズ1世がイングランド王位を継ぎました。チャールズ1世は、ジェームズ1世の息子です。
当時のイングランドでは、改革を目指すプロテスタントのキリスト教信者が増え、国政に介入しようとしていました。「ピューリファイ(浄化する)」という言葉から派生したピューリタンたちは、フランスから妻を迎え、カトリック寄りの姿勢をとるチャールズ1世と対立。加えて、議会や古来のコモン・ロー(王国共通法と呼ばれる法律)の専門家や新興勢力のジェントリーがピューリタンに加担し、王権神授説を信奉するチャールズ1世に改革を迫りました。
イングランド議会は、国民の権利や自由を守るためにチャールズ1世に『権利の請願』を提出しますが、王はこれを拒否。議会を解散させ、専制政治を布いたことで対立は激化し、イングランドは内乱に突入しました。
クロムウェル率いる議会軍に敗れたチャールズ1世は、捕らえられて、「人民の名において」処刑されました。
現代の歴史学者は、チャールズ1世自身のいくつかの政治的判断のミスはあったにせよ、エリザベス1世の時代から続く社会的矛盾の噴出時期に王となった不運を指摘しています。
芸術を庇護し、家族を愛したチャールズ1世。
1625年発行のユナイト金貨は、彼の栄光と悲劇、そしてイングランドが中世的な絶対王政から近代へと大きく舵を切る直前の姿を捉えた貴重な1枚です。穏やかな表情のファーストポートレートを手に取る時、即位直後の若き王と、背後に渦巻く時代の大きなうねりを感じ取ることができるでしょう。
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