運用資産1,000万円で何に投資すべきか
今回は、「1,000万円をどう運用するか」という、多くの方が一度は考えるテーマについて触れていくコラムなんですね。
株式や債券、金、仮想通貨など、それぞれに特徴があることは何となく知っていても、実際にどう組み合わせるかとなると、意外と迷ってしまいます。
特に最近は、インフレや円安の影響もあって、「ただ預けておくだけで良いのだろうか」と感じる場面も増えてきましたよね。
そんな中で、金という存在がどんな役割を持つのか、読み進めるうちに少し見え方が変わってくるかもしれません。
手元に自由に使える運用資産が1,000万円あるとき、何に投資すべきでしょうか。
できることなら損したくありませんし、大きく増やしたいです。
当記事では、代表的な投資先の特徴を確認しつつ、資産配分について考察します。
また、投資先として金も対象になりうるのかについても紹介します。
なお、金と並んで注目されるアンティークコインという選択肢については、別記事で詳しく紹介します。
資産配分の考察からご覧になりたい方は、見出し「最適な資産配分」をクリックしてください。
❖投資先の特徴
投資先はさまざまですが、代表的な例はいくつかに限定できます。
そこで、伝統的な投資先と最近注目を集めている投資先をいくつかピックアップして、特徴を確認しましょう。
株式
株式は会社の所有権を示し、保有割合に比例して会社への影響力を行使できます。
投資の分野では所有権よりも株価の上昇や配当が重要で、業績向上や配当の増加が投資家の注目を集めます。
一方で、業績悪化や減配があると株価が下落し、業績不振の末に上場廃止になると株式が無価値になって大きな損失を計上してしまうのが問題です。
株価は上下動が大きいことが特徴で、適切な運用は難しい可能性があります。
債券
債券とは国や企業などの借金の一形態で、定期的に利子を支払いつつ最終的に元本を償還するという利付債が一般的です。
元本の償還まで保有すれば確実に利益を得られる一方、株価のような大きな価格上昇を期待するのは難しいのが特徴です。
債券投資を検討する際には、業績の向上でなく確実に債券を償還できるかどうかを中心に分析します。
金(ゴールド)
金は何千年もの歴史を有し、その存在自体に価値があるとみなされてきました。
株式や債券は発行体が経営破綻すれば無価値になるのに対して、金に経営破綻はありません。
このため、世界経済が大きく混乱する際には安全資産として注目される傾向があります。
インフレに強いのも特徴で、インフレ率が高くなると金価格も上昇しやすいことが知られています。
仮想通貨(暗号資産)
仮想通貨は2009年に登場した、新しい投資先です。
2010年代は法制度が作られる過程にあり、数多くの問題が発生してきました。
しかし、2020年代に入って法制度が成熟し、法制度の不備による大きなトラブルは見られなくなっています。
株式以上に価格変動が大きいことが特徴で、運用には一定のリスクが存在します。
現金
運用資産を現金で保有するのは、適切な投資先が見つからない場合の待機用です。
現金は何年経っても額面に変化はなく、この点で値動きはありません。
しかし、外貨との交換レート変動による価値の変化があり、また、物価上昇により購買力が低下します。
円安とインフレが同時に進む場面では特に、現金は実質的価値が目減りしやすいのが問題点です。
また、現金での保有は盗難や火事のリスクが常に付きまとうので、通常は預貯金で保管するでしょう。
預貯金
預貯金も現金と同様に資金を待機させる手段で、現金と異なるのは利息がもらえる点です。
預貯金の利息がインフレ率以上ならば、預貯金の実質的価値は時間が経過しても保たれます。
しかし、2020年代の日本は物価上昇率の方が高く、預貯金での資産保有は現金と同様に損になりがちです。
定期預金は普通預金よりも利息が高いですが、それでも物価上昇率には遠く及びません。
しかし、適切な投資先がない場合には、無理せず預貯金での保有が適切です。
6つの資産の比較
6つの資産を項目ごとに比較すると、以下の特徴が見られます。
下の表の通りにならない例もあるので、おおよその傾向として把握してください。
| 資産 | 値動きの大きさ | 無価値になる可能性 | 配当・利払い・利息 | インフレへの対応力 |
| 株式 | 大きい | あり | あり | 高い |
| 債券 | 株式より小さい | あり | あり | 低い |
| 金 | 株式より小さい | なし | なし | 高い |
| 仮想通貨 | 株式より大きい | あり | 銘柄による | 不明 |
| 現金 | なし | あり | なし | なし |
| 預貯金 | 額面にほぼ変化なし | なし | あり | 低い |
株式は配当と価格上昇の2点で魅力的ですが、配当がゼロになったり株式そのものが無価値になったりするリスクがあります。
価値をずっと維持したいという意味では、無価値になる可能性がない金が魅力的です。
しかし、金には配当・利払いがないのが欠点で、保有によって定期的な収入を得られません。
債券・仮想通貨・現金・預貯金にもそれぞれ欠点があり、唯一絶対の投資先は存在しないことがわかります。
❖最適な資産配分
運用者によって年齢や目標利回り等が異なるので、最適な資産配分の提示は容易でありません。
そこで、運用者の年齢が若い場合と中高年の場合の2種類に分けて、一般的な例を紹介します。
運用者が若い場合
運用者が20代や30代の場合、株式の配分をやや多くして積極的な利益を狙えると考えられます。
期待通りに資産が増えれば良し、期待と逆の結果になっても、働けるので挽回の機会は数多くあります。
とはいえ、株式比率を100%にして1,000万円全額を投入するのは合理的と言えません。
どこまで損失リスクを許容できるのか、10年後や20年後にどこまで資産を増やしたいのかによって、配分が変わります。
なお、個別株式に投資するのは知識と時間を要する作業であり、株式が好きな人以外にとっては苦痛を伴う可能性があります。
そこで、株式が好きな人以外は、日経平均株価やNYダウに連動するETFで投資することになるでしょう。
運用者が中高年の場合
運用者が中高年の場合は、若い場合と事情が異なります。
期待通りにいかなかった場合の挽回の機会が乏しく、若くないので無理して働くことも難しいです。
このため、安全を意識した資産配分になるでしょう。
具体的には、株式の割合を抑えて債券の比率を高め、金も運用資産に組み入れます。
積極的に資産を増やすことよりも、できるだけ損しないことを重視した構成になります。
❖金に投資する価値はあるか
投資先を考えるに当たって、株式と債券を組み入れることに違和感はないでしょう。
仮想通貨については、その仕組みやリスクを把握しているならば、スパイス程度に追加できると考えられます。
では、金はどうでしょうか。
金は安全資産の代表格である一方で利息や配当がなく、組み入れる必要はないと考えるかもしれません。
参考のために、2024年度末における日本銀行(日銀)の資産内訳を紹介します。
日銀は日本のお金の番人とも言える存在なので、資産配分においても参考になるはずです。
| 資産 | 金額(億円) |
| 金地金 | 4,412 |
| 現金 | 4,783 |
| 国債・社債等 | 5,818,247 |
| ETF(上場投資信託)等 | 378,887 |
| 貸出金 | 968,126 |
| その他 | 123,207 |
日銀の資産を見ると債券が圧倒的に多く、次いで貸出金やETFが続きます。
金は債券やETFに比べて圧倒的に少ないです。
これは、日銀が日本経済を支えるために国債や日経平均ETFを積極的に購入した結果であり、金地金を軽視しているという意味ではありません。
実際、日銀はETF残高削減に着手しており、金地金の割合は徐々に高まる可能性があります。
中央銀行のようなお金に敏感な組織においても、一定量の金が保有されています。
個人レベルでも金の重要性を認識すべきで、一定の範囲で金に投資することが合理的と言えるでしょう。
1,000万円の資産のうち何%を金にすべきか
資産全体の何%を金にすべきかという点については、運用者個人の好み次第です。
金価格は相場次第で上昇したり下落したりするので、金価格が上がると思えば比率をやや高くし、下落の可能性があると思えばやや低くします。
日銀での金の割合が限定的であることを踏まえて、個人でも控えめな割合が候補になるでしょう。
運用資産が1,000万円で数%が適切と考えるなら、数十万円あたりが目途です。
もっと多くても構いません。
また、金を買うといっても、その種類にはいくつかあります。
地金型金貨
アンティークコインなど
どれを買うべきなのか、参考となる情報として「金地金(インゴット)と金貨を比較した記事」をご用意しています。投資判断の参考として、ぜひ一度ご覧ください。
それぞれに良さがあり、アンティークコインには金の価値に加えて歴史的価値と芸術的価値もあるので魅力的です。
資産運用というと、どうしても「どれが一番増えるのか」に目が向きがちですが、今回の内容を読んでいると、「どう守るか」という視点も同じくらい大切なのだと感じますね。
株式や債券だけでなく、金のように長い歴史の中で価値を保ってきたものが、今もなお一定の役割を持っているという点は、あらためて興味深く感じられました。
特に、資産を一つに偏らせず組み合わせて考えるという発想は、コイン蒐集にもどこか通じる部分があるのかもしれません。
次に金貨やアンティークコインを見るときは、「資産」としてだけではなく、時代を超えて価値を受け継いできた存在として、また少し違った印象で眺められそうですね。